トピックス・オートモーティブ

HILS(Hardware-In-the-Loop Simulation)スペシャリティであるところのKGCが手がけてきたHILSシステムをご紹介するシリーズ。いよいよ自動車全体に枝葉を広げるシステムの開発・テストを行なう「ボディHILS」の登場です。
「ボディHILS」とはずいぶん漠然とした呼び方ですが、「乗り物」としての自動車に不可欠な要素をまるっと面倒見ますよ!
自動車を走らせること以外(だいたい)全部
自動車は、エネルギー源から動力を生み出し、車輪に伝えて走行します。ただ前進するだけではなくて、進路を変えたり、ブレーキをかけたりしながら。ですが、それだけで「乗り物」として成立するわけではありません。
人を乗せて道路を走る自動車は、キャビンとしての居住性をそなえ、社会的な約束事を守ったうえで、はじめて「乗り物」になります。たとえば、ドアやウィンドウがなければドライバーは転げ落ちてしまいますし、エアコンがなければ暑さ寒さをしのげません。公道を走るならヘッドライトや方向指示器も必要ですね。現在では、これらは電気的に接続されており、車体のすみずみにまで制御が及んでいます。
そのシステム全体を制御しているのが「ボディ系ECU」。そして、ボディ系ECUの開発・テストをお手伝いするのが「ボディHILS」です。
とにかく守備範囲が広いボディ系ECU。その領域は「自動車を走らせること以外全部」といっても過言ではありません。多岐にわたるデバイスを制御するこのECU。テストも大変ですが、HILSがあれば頑張れそうです!
ボディにはどれだけのデバイスが……
ボディ系ECUが制御下に置く車体中のものとしては……
- ドア周辺
- ドアロック/ドア開閉スイッチ/パワーウィンドウ/etc.
- コンソール周辺
- キースイッチ/キー照明/ライトスイッチ/ワイパースイッチ/ハザードスイッチ/etc.
- 室内
- ルームランプ/照度センサ/エアコン/エアバッグ/etc.
- エクステリア
- ヘッドライト/ワイパー/ウォッシャー/ミラー/方向指示器/etc.
- etc. etc.

このように多種多様なデバイスが挙げられます。何をどのECUで制御するかは車種によって異なりますが、多様なデバイスを引き受けるボディ系ECUはどの自動車にも搭載されています。
アルゴリズムに基づいた精密な制御よりは、比較的単純に装置に流れる電流、つまり負荷を観察すれば事足りるような装置が多い印象ですね。
つまり、ボディHILSがシミュレートするのは、
- 制御下に置くデバイスの電気的負荷
- 制御下に置くセンサからの入力
- これらのデバイス、センサ等に電源供給するバッテリ
等々となります。これらシミュレートされた信号を受け取り、ボディ系ECUは実際の車体のつもりで各部の制御を実行します。
KGCはボディHILSによるテストを熟知しています
ボディ系ECUが制御するデバイスたちは単独で動作しているわけではなく、複雑に関連しあった挙動をします。たとえば、
ドア開閉スイッチON → ドアロック状態確認 → ドア開閉モータ駆動 → ドア位置スイッチ確認 ……
といった具合。
各デバイスやセンサ等の状態を確認して、モータを動かし、その負荷で動作状況を確認し……といった一連の流れを確認するテスト、というのがまずひとつ。ECUが状況に適切に対応できるか、試験者が手動で、またはシナリオ設定をもとに自動で状況を作り、シミュレーションを実行します。
また、異常系のテストとして、各デバイスがショートした状況や、逆に断線した状況、そしてバッテリの電圧が低下した状況への対応をテストすることも。このあたりは実車ではなかなか困難なところですので、HILSの得意分野ですね。

KGCがボディHILSソリューションをご提供する際は、お客様の作られる自動車のスペックに基づき、どのような構成で、どのようなテストが必要となるかの要件定義の段階からコンサルティングを承ります。
実車ができあがっていく段階に応じて、デバイスやECUのシミュレーションを実物パーツに置き換えていくプロセスを前提に、より品質の高いボディ系ECUを効率良く開発していただけます!
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