トピックス・オートモーティブ

電気で動く機械に電力を供給する電池(バッテリ)。乾電池や太陽電池など、電池にもいろいろありますが、電気自動車やハイブリッド車に搭載されているのは、何度も充電して使える二次電池というタイプ。「リチウムイオン電池」「ニッケル水素電池」の2方式が主流です。
バッテリは現在進行形で技術革新中な分野ですから、上記の2種の方式内でも、また、新しい方式のバッテリでも日々新しいことが起こっていますね。そんなホットな分野では、やっぱりHILSが効果的。バッテリを制御するECUのテストも、ECUに制御されるバッテリのテストも、シミュレータで最高のパフォーマンスを!
バッテリって難しい…
人間を乗せた車体に、バッテリから大電流を引き出してモータを回して車輪を駆動する、どこをとってもチャレンジに満ちた機構です。その動力の源となるバッテリですから、モータとあわせて制御が大変難しいことは想像に難くありません。
バッテリを使った機構を開発する場合は、以下のような点に留意する必要があります:
- 化学反応を使った装置である
バッテリは、いくつかの物質の化学的な反応を使って電気をためる/放出する装置です。外部環境や、自ら発する熱によって挙動が変わったりといった難しさがあります。 - 機械装置でもある
車載用バッテリはひとつの大きな電池のように見えますが、実際はその内部にたくさんのバッテリセル(小型の電池)が並んでいます。可動部こそないものの、多数のパーツの組み合わせであるため、一部が物理的に故障するといったトラブルも発生します。バッテリの中に多数のセル - 充電と放電の両方を制御する必要がある
二次電池の場合は、エネルギーを蓄える充電と、エネルギーを引き出す放電のふたつを、時に同時に行なう必要があります。
こういったポイントを外してしまうと、電池のポテンシャルを活かせなかったり、最悪の場合発熱して発火するといった事故も……。
自動車の場合、このあたりをうまくマネジメントし、安全に、高いパフォーマンスを引き出すために頑張っているのは、やっぱりECUです。
ECUとバッテリの密なコミュニケーション
どんな状況下であれ、乗員の安全を第一に、自動車の性能をキープする使命のもと、ECUはバッテリと常時密にコミュニケーションしなければなりません。
バッテリからの情報としては、バッテリの総体としての電流・電圧、バッテリセルごとの電流・電圧、故障情報、温度情報などがあり、こうした情報をもとに、ECUはどのバッテリセルから電流を得て、また、どのバッテリセルへ充電を行なうか、といった制御を行なうことになります。
バッテリ制御ロジックは早いうちから着手して、多様な状況を想定した上でぎりぎりまでチューニングしたい。その一方で、自動車開発のタイムライン上でバッテリの完成した実物が投入されるのは、やはりスタート直後というわけにはいきません……。
このジレンマを解決するのは、HILSです。
実物のバッテリにかわり、HILSがバッテリセルのひとつひとつを、そして総体としてのバッテリをシミュレートして、ECUのテストのお手伝いをします。
バッテリHILSはここがメリット
まだ存在しない機器をシミュレータに置き換え、ECUの開発・テストを先行して実行。バッテリHILSを導入することで左記のような他種のHILSと同様のメリットが得られるのはもちろんですが、バッテリという機器の特殊性にもとづくメリットにこそ注目してください。
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バッテリの劣化を何度も繰り返すことができる
バッテリは化学反応を使った機器なので、充放電性能が劣化することを前提に使用することになります。劣化の進み方も充放電制御のさじ加減で全く異なるため、ECUのチューニングを繰り返し、最適な制御ロジックを構築する必要が。しかし、実物のバッテリは使用するにつれ劣化してしまうため、正確な検証が困難です。
シミュレータの場合、劣化もシミュレーションのうちなので、希望する時点からの制御シミュレーションを何度でも繰り返し、状態を検証することができます。
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発熱・発火・爆発も仮想の事象
リチウムイオンバッテリの利用は発熱との戦いが伴います。どんな状況で過酷な事故が発生するか、発生した場合にECUが正しく対応できるか、など、安全に関わる検証は絶対に必要です。
シミュレータであれば、過酷な事故も仮想の世界のできごとです。何度検証しても危険なことはありません。
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実際のデータを柔軟にフィードバック
バッテリの実物も何段階かのフェーズを経て、最終的な製品となりますが、事前の仕様の範囲外での挙動を確認しておく必要もあります。場合によっては、仕様の範囲内でも。
実物のバッテリのデータを取れるようになった場合に、その実測値はHILSにフィードバックすることができますから、より実物に近い挙動でチューニングを詰めてゆくことが可能です。
ECU開発も、バッテリ開発も
ECUの開発・テストのためにバッテリHILSを利用するメリットは前項のとおりですが、逆にバッテリ開発・テスト用にもHILSを使っていただけます。
まだ存在しないECUをシミュレートすること、さらに、そのECUのシミュレータと開発中のバッテリのシミュレータを組み合わせて動作させること、など、システムを柔軟に構築できます。
さらに、自動車以外でのバッテリに関しても。
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KGCのバッテリHILSは、様々な条件下での挙動をシナリオベースでシミュレート。そして、FPGAを使用することでレスポンス性の高いリアルタイムシミュレーションを実行します!
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